« 20090204 板橋場所2日目 医学部入試 | トップページ | 20090207附属世田谷小研究発表会・社会科部OB会 »

2009年2月 6日 (金)

20090206入試問題校正・狭山市立堀兼小研究発表会

 今日は板橋で入試の監督だったはずなのだが、先週の金曜日に「キャンセルです」の電話がかかってきた。やった、こういうことあるんだ!!
 午前中、成績処理と、入試問題の校正のために大学へ。
 午後は、いわせんの学校の研究発表を参観するために狭山市立堀兼小学校に出かけた。行きたかったが入試の仕事であきらめていたのだが、ラッキー!。
 新狭山の駅のホームで横浜のK君に会う。なんたる偶然!彼は職場の同僚の先生と一緒に堀兼小へ行く途中だという。駅前の中華料理屋でお昼を食べて、タクシーに乗った。
 校門の前で学芸大生のM君に会う。彼もいわせんを目指してきたのだという。少し前に目をやれば我が大学のTさんも。よかった、たどり着けたか!!

 校門をくぐると、「こんにちは!」という元気よく挨拶してくれる子どもが大勢いる。いい雰囲気だなと思う。子どもたちも今日のことを楽しみにしているのではないかなと思う。いい研究をしている学校の公開の日って、こんな雰囲気があるものだ。
 受付を通り、控え室に案内されると東京学芸大学のS先生が。そして、我が研究室のNさん。なんと、来る途中で知り合ったとのこと。お世話になりました。m(_ _)m控え室ではいわせんの奥様にお会いする。お元気そうで何よりである。
 少し早めに教室に向かう。彼の教室環境も見ておきたいし、早く行かなければよいポジションが取れないからだ。いわせんの教室には子どもが自主的に学べるようになる仕掛けが一杯であった。ライティングワークショップの掲示物、図書コーナー。入り口には座席表型の指導案がおかれていた。

 休み時間の子どもたちは音楽をかけて踊りの練習をしたり、卓球をしたり、本を読んだりと、なんとも自由な雰囲気にあふれていた。
 さて、いわせん登場。あれ?なんだかみたような.....のど元まで出ている言葉が出ない違和感は全体会の時になんだかわかるのだが、ここではまだ???のまま。
 久々にお会いしたいわせんは、相変わらず元気いっぱいでさわやかでしたが、スーツを着ている!(実はスーツを着ているいわせんを見るのは初めてです)これは『作家の時間』(読んでいない人は是非手に取って!)のプロジェクトの時にはなかったことだ。そう、いわせんは日本の教育を変えるために、ワークショップ型の「書き」の授業を作るプロジェクトを吉田新一郎さんとリードしてくれた熱い教師なのだ。いわせんのことは朝日新聞の花まる先生でも紹介されている。このプロジェクトの成果は『作家の時間』として世に出ている。ワークショップ型の学びはすでに米豪では行われていて、まずはアメリカの実践書の翻訳ー『ライティングワークショップ』ーからこのプロジェクトはスタートした。訳の検討そして日本での実践のプロジェクトもワークショップ型で進められ、大変よい勉強になった。今日の発表は、「書き」に続く「読み」のワークショップ型授業というわけだ。ただ、私は、このプロジェクトに参加したのだが、職場が変わったこともあって途中で脱落して、皆さんに迷惑をかけた。ごめんなさいm(_ _)m。

 そうこうしているうちに授業は始まった。
 授業の冒頭はミニレッスン。話し合いに中心トピックをというミニレッスンで、子どもたちがそれぞれ書いているノート(このノートがすごい!)を見直させ、今日話したいことは何かを意識づけるものだった。その間わずか5分。
 そのあと、25分のグループ活動である。 
 私は『ザ・ギバー』を読んでいるどもたちが気になっていたので、その子たちのそばに行きました。子どもたちは17章まで読んで話し合っていた。その先は読まないという約束になっているのだそうだ。私にはできない!だって先を読みたいじゃないですか!!でも、この子たちがその約束をしっかり守っているというのは仲間と読む楽しさを体感しているからなのだろうなぁ。

 話し合いは、何か決まったフォーマットを消化するような堅いものではなく、ごくごく自然で楽しげなのである。ただ楽しいだけではない。対象とする本の本質に迫る、鋭い着眼にもとづく意見のやりとりなのである。今回の話し合いでは、ゲイレブの役割(本作品における)、ジョーナスが目指す世界とは?記憶を伝えるという仕掛けの意味などを巡って、「えっ、この子たち6年生なの?」と思うような解釈を出し合い、つなぎあっているのである。
 25分が過ぎると、自分たちの今日の話し合いを振り返る時間が5分とられる。
 ここで驚かされるには、自分たちの話し合いの進め方が十分意識に上っているということである。話し合っていることが難しくー抽象的にーなってしまったことによって、そのあたりからA君の集中がとぎれてしまっていたと、周囲の子どもたちは気づいていたー本人も自覚していたー。
 最後の10分あまりの時間に、個々の振り返りをノートに書くのだが、どの子もB5のノート1ページを軽々と書いていく。この書きぶりは作家の時間のおかげに違いない。

 子どもたちの成長がすばらしい。これだけ、読めて書けて語れる子どもは日本中探してもそうはいないだろう。学校図書館を活用した授業のゴールを見たような気がした。

 いわせんの授業はすばらしい授業だ。
 だが、これは従来いわれてきたような「よい授業」ではないのだ。新しい「よい授業」なのだ。

 全体会で講評をした指導主事が「このクラス(いわせん学級)で一斉指導をしてみたい」と講評されたがーその気持ちはわかる!ー、そういうことではないのだろうと思う。

 いわせん学級で目指してきたことはそういうことではないと思うのだがどうだろうか。

 ただ、課題はいくつかあると思う。

 一つは個々のグループ活動の質を高める手だてをどう考えていくのかである。確かに子ども同志でよく聞きあい、つなげあい、語り合っている。今日の『ザ・ギバー』の子どもたちであったら、色を失った人類についてが議論の俎上にのったのだが、割にさらりといってしまった。ジョーナスが、「記憶を伝えるもの」から記憶を伝えられるにつれ、変わっていくことの一つの象徴が色の復活であったので、もう少し考えさせたい場面であった(でも「だから表紙ーカバーーが白黒なんじゃん」との気づき、すばらしい。じゃあ裏表紙は?「少しカラーだ?」「雪の記憶のこと?」はもう少し先を読むと気づくよ。それにしても鋭い!)。しかし、そこに教師の手はない。4人一組のグループでの活動だ。いわせんは少し前に数分この子たちの議論に耳を傾けていたが、声をかけることなく別のグループへと移っていった。その判断は間違っていないと思う。あれだけしっかりと話し合えていれば、行き詰まっているグループの支援にまわるのが普通であろう。実際他のグループのところで話を聞き、アドバイスしていた。子どもたちは自分たちを高めあう先行経験を持っていたように思う。話が行き詰まれば別の問いで話し合いを活性化させる役割を果たす子どもがいたのだが、それは、このような話し合いをファシリテートするための方法を既に学んでいたからだろう。子どもの振り返りに「クエスチョナー」という言葉が散見された。後のワークショップで体験したが、着眼の方法・役割が体験されているのである。ただ、本時の子どもたちの話し合いを聞いていて、それを高めるでのできるメンターがいれば議論はぐっと凝縮したのではないかとも思う。教師は一人である。リアルタイムでは関われないが、ノートなどによって子どもたちの学びを読み取ることは可能だろう。そして次の時間に向けて何らかの方策を講じることは可能だろう。実際にいわせんならばやっているに違いない。担任は、1時間だけでなく長いスパンでの子どもの成長を捉えているからこのようなことは問題にならないのかもしれないが、1時間の観察者には気になる点ではある。

 研究提案と言うことでも検討の余地はあるのではないか。この子らが、どうやってここまできたのか、その秘密を明らかにしてほしいと思った参観者は少なくないはずだ。単純にアニマシオンやリテラチャー・サークルをやればここまで子どもが成長しますということではないのだろう(単純にやるのだって大変である)。読書に着眼されて、子どもたちが本と親しめるようにしてきたこと、それだけでなくワークショップ型の学びが展開できるような学級風土や学校文化をどう創ってきたのかー仲間とのやりとり等で子どもがどう成長するように考え実践してきたのかー道のりを詳しく知りたかった。

 課題ではないが知りたかったこともある。

 これらの授業と、学校図書館はどうつながっている(いた)のだろうか?

 ここでは書かなかったが、いわせんのチームビルディングの話がすばらしく勉強になった。冒頭の???はここで氷解。いわせん、なんと「オバマ大統領」に似ているのだよ!

 遠くない機会に、いわせんと一杯やる計画を立てたいと思う(その時は一緒に行った学生諸氏も誘いたい)

 いろいろと考えさせてくれる授業だった。

 今日の研究発表会はかませんの研究室にとってもスタートの大切なイベントとなった。T君・I君は研究室を訪ね堀兼小の研究発表を楽しみにしていてくれた。会場であった時は、スーツ姿だったので、どこの先生かと驚いた。Tさん、Nさんもよい場面が見られたのではないかと思う。
 まだ1回目の集まりの前なのだけれど、ゼミ生に学校現場を間近に感じてもらいながら研究をしてほしいというメッセージを込めて、いわせんの学校や、明日の学大附属世田谷、来週の小金井・竹早の発表会を紹介してきた。
 それに応じて4人もの学生が参加してくれた。4人のフットワークの軽さと知的好奇心をうれしく思う。

 明日は世田谷小だ!

|

« 20090204 板橋場所2日目 医学部入試 | トップページ | 20090207附属世田谷小研究発表会・社会科部OB会 »

コメント

かませんさん

詳細なフィードバック本当にありがとうございます。とても勉強になりました。
課題も的確に指摘していただき、感謝しています。かませんの切れ味の鋭さに、一線で実践してこられた方のすごみを感じます。指摘していただいた課題をクリアすべく、やっていきたいと思います。


>学校図書館を活用した授業のゴールを見たような気がした。

>いわせんの授業はすばらしい授業だ。
>だが、これは従来いわれてきたような「よい授業」ではないのだ。新しい「よい授業」なのだ。

>全体会で講評をした指導主事が「このクラス(いわせん学級)で一斉指導をしてみたい」と講評されたがーその気持ちはわかる!ー、そういうことではないのだろうと思う。
>いわせん学級で目指してきたことはそういうことではないと思うのだがどうだろうか。


このコメント、本当に嬉しかったです。ボクが一番今回の提案でお伝えしたかったことで一番議論したかったテーマだからです。たった1時間の参観だけでそこをビシッとついてくるかませんさんにただただ脱帽です・・


今度飲むときに思いっきりお話ししましょう!!たくさんたくさんお聞きしたいです。

>かません研究室のI君 さん
来てくださってありがとうございました。
ボクの中では決して「特別な形式の授業」ではないのです。
今度お会いしたとき、そのあたりを一緒にお話しできたら嬉しいです。

投稿: いわせん | 2009年2月12日 (木) 21時43分

今日は昨日の特別な形式の授業とはまた違いとても勉強になりました。岸野先生の授業は、子どもたちの意見をしっかりと聞いて、主体的に学びに向かっていました。また、子どもの発言をしっかり受け止め、分かりにくい事があればみんなに向かって説明を求めていました。そのことが、学級全体の「問の共有」につながっているのではないかと感じました。そして、そのことは子どもが自分の発言をしっかりと説明できたり、意見をしっかり言える学級の環境っくりが出来ているからだと思います。
しかし、研究協議会の中では先生方の見解は違ったものでした。岸野先生の目的や目標が子どもに伝わっていなかったのではないか。もっと、リアリティのある教材の方が子どもは納得し、実感を得て学べたのではないか。私が、感じでもみなかったものです。鎌田先生がおっしゃっていた、先生の発問・子どもたちの発言に耳を傾けメモを取るのが有効である。の意味が分かったような気がします。子どもたちの些細な発言から、様々な気持ちや授業の完成度などを感じ取れる必要があると感じました。
この二日間は、私にとってとても刺激的な時間でした。教師という職業のすばらしい面を見させていただきました。また、教師という夢に向かってやってやる!!という気に改めてなりました。

投稿: かません研究室のI君 | 2009年2月 9日 (月) 01時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/35932/43976459

この記事へのトラックバック一覧です: 20090206入試問題校正・狭山市立堀兼小研究発表会:

« 20090204 板橋場所2日目 医学部入試 | トップページ | 20090207附属世田谷小研究発表会・社会科部OB会 »